女子中学生のチームがない
中学に上がるタイミングでサッカーを辞める人が多い
長年問題になっている女子中学生のサッカー環境
問題視されてはいますが、実際にどれほど問題であるかを示しているものはほとんどありません。
ここでは、具体的な数字を示し、その実態を明らかにしていきます。
年代別サッカー人口とチーム数
下に示している表が、JFAが調査した2024年3月末時点における、全国の種別区分別男女区分別登録数集計表になります。(https://www.jfa.jp/より引用)
この表から抜粋しながら、女子中学年代実態を示していきます。
年代別女子サッカー人口
年代別サッカー総人口
小学生 20,528人
中学生 11,225人
高校生 11,489人
中学生に上がるタイミングで、一気に競技人口が減少していることが分かります。
年代別所属チーム内訳
※小学生は第4種登録のため、男女チームの区別なし
〇中学生
男子チーム:3,347人(約30%)
女子チーム:7,874人
・中学クラブ:3,503人
・中学部活動:706人
・高校クラブ:1,092人
・高校部活動:302人
・一般:2,251人
3人に1人は男子チームに混ざってプレーしています。
女子の方が成長が早いことが多く、小学生のうちは体格やスピード等で対等にできていたかもしれませんが、中学生になるとそうはいきません。
女子チームに所属している選手の中で、中学生年代のチームでプレーしているのは、53%(4,209人)の選手のみ。
約半分の選手は、自分より上のカテゴリーでプレーをしている現状にあります。
〇高校生
男子チーム:106人
女子チーム:11,381人
・高校クラブ:781人
・高校部活動:9,793人
・一般:782人
99%の選手が、女子チームでプレーしています。
男子との対格差や能力差による限界という点もありますが、次に説明するチーム数も大きく関わっています。
年代別チーム数
〇中学生
・中学年代合計:201
・中学クラブ:159
・中学部活動:42
〇高校生
・高校年代合計:594
・高校クラブ:87
・高校部活動:507
中学と高校で比較すると、チーム数は約3倍
部活動に注目すると、高校の部活動数は中学の約12倍
金銭的にも、練習に行く負担を考えても、活動しやすいのが部活動。
部活動数が大幅に増えたことで、家から通いやすい学校への進学、サッカー活動が可能になっています。
施設環境の問題
もう一つは練習・試合の施設環境の問題である。
グラウンドはあっても、簡易トイレがある程度で、きちんとしたクラブハウス、清潔な更衣室やシャワー設備をそなえているところが非常に少ない。
かつて、サッカーは男子のスポーツという認識が強かったこともあり、外で着替えるのが普通でした。
しかし女子はそうはいきません。
狭く汚いトイレで順番に着替えるなどは日常茶飯事、劣悪な環境は、この数十年間、あまり改善されていないように感じます。
まとめ
ここまで、女子サッカー界の育成年代が抱える課題についてまとめてきました。
個人的にですが、依然としてサッカー=男子のスポーツということがぬぐえていないこと、
そうではなくても、女子が積極的にサッカーを選ぶような環境にないことが根底の問題としてあるかと思います。
「中学でもサッカーやりたかったけど、チームがなくて」
といった声はかなり多くあります。
「中学生年代の受け皿を増やす、整える」
ということは、今後も大きな課題であり、問題解決が前進すれば、さらに競技人口の増加やスター選手の発掘につながるのではないかと考えます。